メディア(ニッキー香月のインタビュー記事)📄
abc News digital 5/29/20
コロナウィルス・パンデミック下で母乳育児の挑戦に直面するお母さんたちより抜粋
New moms face challenge of breastfeeding during coronavirus pandemic (←全文)
無理なく楽しむ母乳育児(前編)〜NYジャピオン 9/7/2018
無理なく楽しむ母乳育児(後編)〜NYジャピオン 9/14/2018
自由大学クリエイティブチーム日記vol.22「lactation consultantという仕事」より抜粋 2015年10月20日
https://freedom-univ.com/blog/2015_10_20_4712/
産後、母乳トラブルに見舞われて初めて受けた母乳コンサルティングが、なんともフラットな雰囲気で目から鱗な体験だったので、お世話になった母乳コンサルタントのニッキー香月さんにインタビューに行ってきました。
母乳コンサルタント、英語でラクテーションコンサルタントは、アメリカ発祥の国際資格。科学的根拠に基づいて、母乳育児を支援してくれます。それは具体的にはどのようなことなのでしょうか。
母乳育児では母乳が出る仕組みなどを医療の面から理解することがとても大切なんです。妊婦さんに対して母乳が出るメカニズムをお伝えする講座をやったりもしています。産後のコンサルティングでは、精密な体重計を使って赤ちゃんがどれだけ母乳を飲んでいるかを図ります。数字だけではなくて、赤ちゃんの日ごろの様子やお母さんの健康状態をヒアリングしたりします。そうすると、クライアントさんの母乳育児の状況が見えてくるんですね。
コンサルティングで大切にしていることは何ですか?
コンサルティングではお母さんが今何を目指しているのかということが一番大事なんですね。私が決めるプランではなくて、お母さんが何を求めているのかを会話の中から引き出すようにしています。そしてそれに合わせてカウンセリングをすること。「ワンドロップカウント」という言葉があるのですが、ワンドロップでも母乳が出るのはとてもすばらしいこと。量だけにとらわれるのはよくないのです。もちろん母乳のメリットは伝えながら、最後に決めるのはお母さん。私はお手伝いできたらいいなという立場なんです。
日本は母乳育児へのこだわりが強いように思いますが、アメリカはどうですか?
アメリカも日本と同じように母乳育児を重視しています。日米で母乳育児に対するお母さんの真剣な思いに変わりはありませんが、日本には独特のビリーブがあるように思います。それが災いして、「~してはいけない」というNGリストをたくさんつくってしまっている日本人のお母さんは多いですね。「母乳がつまったらマッサージ」というのも日本独特の考え方です。お母さんの胸のコンディションが悪くなるのは、赤ちゃんの口の開き方やポジションなどに原因があることも多くて、そちらを改善しないと本当の解決にはつながらないのに、もったいないですね。
ラクテーションコンサルタントになったきっかけは?
日本では管理栄養士をしていて、もっと勉強したいと思ってアメリカに留学しました。卒業後、政府が提供しているWIC(Woman Infant Children)プログラムという低所得者向けの栄養授乳プログラムのオフィスで働くことになり、会社を通してラクテーションコンサルタントの資格を取りました。WICプログラムは、妊婦さんから産後の食事、母乳育児、離乳食、その後の幼児食と子供が5歳になるまでのサポートプログラム。生まれる前からトータルでサポートできたことが、独立後の活動にもとても役立っています。栄養士もラクテーションコンサルタントも「予防医療」という点では同じ。アメリカでは医療費が高いこともあって、自分で健康を守ることがとても大切なんです。
育児と仕事はどのように両立されてきたんですか?
娘が生まれたのは、WICプログラムで働き始めて3,4年の頃でした。アメリカはキャリアをとても大事にするのでブランクをつくると後のキャリアに響きます。それに自分も働きたかった。半年で復帰して、その後はシッターさんに預けて、もう必死でした。でもその分、お母さんたちの気持ちがわかるんです。授乳の大変さや、働きながら子供を育てる気持ちも。
独立したのはいつですか?
娘が5歳のときです。もともと好奇心が強くて負けず嫌い。ずっと挑戦したかったのでやるなら今だと思いました。独立したのは、もっといろんな人種の方をサポートしたいと思ったから。自分も日本人ですし、日本人のお母さんにも自分の知識や経験を還元したかった。人生のなかではタイミングがあると思うのでやってよかったです。
独立してみてどうでしたか?
クライアントを獲得していくために、特に大事だったのは、ラクテーションコンサルタントの勉強会に入ったりして、横のつながりをつくること。自分が忙しいときは互いにクライアントを紹介しあったり、アメリカは同じ職業の者同士、助け合うことが多いです。それから徐々にクライアントが増えて、今ではこんなに困っている人が多いのかと驚くぐらい相談をいただいています。土日も依頼があれば駆けつけるので、決まったお休みはないのですが、毎回やっててよかったと思えるので、幸せなことです。
これから挑戦してみたいことはありますか?
引き続き今の活動を続けていくことが一番ですが、執筆にもチャレンジしてみたい。日本では助産師さんがラクテーションコンサルタントの役割までカバーしていることが多いですが、専門家ならではの知識や視点もあると思う。それを日本にも発信していけたらいいなと思います。
日本では専門家に相談するというと、なんでも敷居が高く感じてしまいそうな世の中。逆にアメリカではそれが普通。コンサルもあくまでクライアントの意思が尊重される。大切なのは自分がどうしたいのかということ。かといって、「どうしたいの?」と迫られることもなく、共感を大事にする日本流のコミュニケーションのよさとアメリカのよさをいいとこどりしたコンサルティングは香月さんならでは。そして、育児しながら起業しちゃうパワフルさもかっこいい。留学時は英語もできなかったそうですが、今はクライアントの7割がアメリカ人だそう。「やってやれないことはない。」香月さんの言葉に私も力をもらいました。
産後、母乳トラブルに見舞われて初めて受けた母乳コンサルティングが、なんともフラットな雰囲気で目から鱗な体験だったので、お世話になった母乳コンサルタントのニッキー香月さんにインタビューに行ってきました。
母乳コンサルタント、英語でラクテーションコンサルタントは、アメリカ発祥の国際資格。科学的根拠に基づいて、母乳育児を支援してくれます。それは具体的にはどのようなことなのでしょうか。
母乳育児では母乳が出る仕組みなどを医療の面から理解することがとても大切なんです。妊婦さんに対して母乳が出るメカニズムをお伝えする講座をやったりもしています。産後のコンサルティングでは、精密な体重計を使って赤ちゃんがどれだけ母乳を飲んでいるかを図ります。数字だけではなくて、赤ちゃんの日ごろの様子やお母さんの健康状態をヒアリングしたりします。そうすると、クライアントさんの母乳育児の状況が見えてくるんですね。
コンサルティングで大切にしていることは何ですか?
コンサルティングではお母さんが今何を目指しているのかということが一番大事なんですね。私が決めるプランではなくて、お母さんが何を求めているのかを会話の中から引き出すようにしています。そしてそれに合わせてカウンセリングをすること。「ワンドロップカウント」という言葉があるのですが、ワンドロップでも母乳が出るのはとてもすばらしいこと。量だけにとらわれるのはよくないのです。もちろん母乳のメリットは伝えながら、最後に決めるのはお母さん。私はお手伝いできたらいいなという立場なんです。
日本は母乳育児へのこだわりが強いように思いますが、アメリカはどうですか?
アメリカも日本と同じように母乳育児を重視しています。日米で母乳育児に対するお母さんの真剣な思いに変わりはありませんが、日本には独特のビリーブがあるように思います。それが災いして、「~してはいけない」というNGリストをたくさんつくってしまっている日本人のお母さんは多いですね。「母乳がつまったらマッサージ」というのも日本独特の考え方です。お母さんの胸のコンディションが悪くなるのは、赤ちゃんの口の開き方やポジションなどに原因があることも多くて、そちらを改善しないと本当の解決にはつながらないのに、もったいないですね。
ラクテーションコンサルタントになったきっかけは?
日本では管理栄養士をしていて、もっと勉強したいと思ってアメリカに留学しました。卒業後、政府が提供しているWIC(Woman Infant Children)プログラムという低所得者向けの栄養授乳プログラムのオフィスで働くことになり、会社を通してラクテーションコンサルタントの資格を取りました。WICプログラムは、妊婦さんから産後の食事、母乳育児、離乳食、その後の幼児食と子供が5歳になるまでのサポートプログラム。生まれる前からトータルでサポートできたことが、独立後の活動にもとても役立っています。栄養士もラクテーションコンサルタントも「予防医療」という点では同じ。アメリカでは医療費が高いこともあって、自分で健康を守ることがとても大切なんです。
育児と仕事はどのように両立されてきたんですか?
娘が生まれたのは、WICプログラムで働き始めて3,4年の頃でした。アメリカはキャリアをとても大事にするのでブランクをつくると後のキャリアに響きます。それに自分も働きたかった。半年で復帰して、その後はシッターさんに預けて、もう必死でした。でもその分、お母さんたちの気持ちがわかるんです。授乳の大変さや、働きながら子供を育てる気持ちも。
独立したのはいつですか?
娘が5歳のときです。もともと好奇心が強くて負けず嫌い。ずっと挑戦したかったのでやるなら今だと思いました。独立したのは、もっといろんな人種の方をサポートしたいと思ったから。自分も日本人ですし、日本人のお母さんにも自分の知識や経験を還元したかった。人生のなかではタイミングがあると思うのでやってよかったです。
独立してみてどうでしたか?
クライアントを獲得していくために、特に大事だったのは、ラクテーションコンサルタントの勉強会に入ったりして、横のつながりをつくること。自分が忙しいときは互いにクライアントを紹介しあったり、アメリカは同じ職業の者同士、助け合うことが多いです。それから徐々にクライアントが増えて、今ではこんなに困っている人が多いのかと驚くぐらい相談をいただいています。土日も依頼があれば駆けつけるので、決まったお休みはないのですが、毎回やっててよかったと思えるので、幸せなことです。
これから挑戦してみたいことはありますか?
引き続き今の活動を続けていくことが一番ですが、執筆にもチャレンジしてみたい。日本では助産師さんがラクテーションコンサルタントの役割までカバーしていることが多いですが、専門家ならではの知識や視点もあると思う。それを日本にも発信していけたらいいなと思います。
日本では専門家に相談するというと、なんでも敷居が高く感じてしまいそうな世の中。逆にアメリカではそれが普通。コンサルもあくまでクライアントの意思が尊重される。大切なのは自分がどうしたいのかということ。かといって、「どうしたいの?」と迫られることもなく、共感を大事にする日本流のコミュニケーションのよさとアメリカのよさをいいとこどりしたコンサルティングは香月さんならでは。そして、育児しながら起業しちゃうパワフルさもかっこいい。留学時は英語もできなかったそうですが、今はクライアントの7割がアメリカ人だそう。「やってやれないことはない。」香月さんの言葉に私も力をもらいました。
From NY 母乳育児 好意的な街〜新潟日報モア 1/5/2015
心と体のメンテナンス-NYジャピオン
2014年3月7日発行号
3月のテーマ ◆ 母乳育児の基礎知識 第1回
母乳は最高の栄養源
母体の回復にも効果
ニッキー香月さん Nikki Katsuki, IBCLC, CLC国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)、米国認定ラクテーションカウンセラー (CLC)。日本の管理栄養士。ハンターカレッジ栄養学部卒。ニューヨーク市、ロングアイランド(ナッソー郡)で、母乳育児に関する産後訪問ケア(日本語・英語)を実施、母乳育児講座も定期開催。各種費用への医療保険適用申請をサポート。Vital Choice Inc.代表。
母乳育児のメリットは何ですか?
母乳には、赤ちゃんに必要な栄養がすべて含まれていることです。ほかにも、赤ちゃんにとって次のような利点があることが、さまざまな研究によって分かっています。
▽母乳には母親が持つ抗体が豊富に含まれており、風邪や中耳炎などの感染症や、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の予防効果がある。
▽乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率が低下する。理由は未解明。
▽成人してからの肥満や生活習慣病を予防する。
▽母乳を飲むときに口を使うことで、あごと歯の適正な発達につながる。
一方、母親にも次のようなメリットがあります。
▽ホルモンの働きや、赤ちゃんと肌と肌で直接触れ合うことで、産後うつになりにくい。
▽子宮の収縮が促進され、産後の出血量が減って貧血になりにくい。
▽閉経前の乳がん、卵巣がんなどの予防効果がある。
▽血糖値が安定しやすく、妊娠糖尿病(妊娠中に血糖値が高くなる病気)の早期改善につながる。
▽出産後6カ月は妊娠の可能性が低くなる。
▽カロリーを消費するため、食事制限をしなくても体重を徐々に減らせる。
ほかにも母乳の場合、赤ちゃんが欲しがったときに、すぐに授乳できるという利便性があります。対照的に乳児用人工乳は、哺乳(ほにゅう)瓶を消毒し、調乳後も適温に冷まして飲ませるなど、手間がかかります。
母乳は費用面のメリットもあります。人工乳の購入費を省けますし、母乳に含まれる抗体で赤ちゃんが病気になりにくいので、医療費も節約できます。
母乳育児が推奨されるようになったのは、いつごろから?
母乳育児のメリットが見直されたのは1970年代で、それまでは人工乳が推奨される時代がありました。人工乳の歴史は古く、1883年には27種類の粉ミルクが販売されていたそうです。当時、粉ミルクは保存性の高さが人気を集めていましたが、その後、質の向上が進み、1929年には、米国医師会が粉ミルクの安全性と栄養価を認めるに至りました。
それ以降、医療機関と粉ミルク製造会社が粉ミルク普及で結束。大々的な宣伝活動の結果、米国を含む先進国で粉ミルク、つまりフォーミュラの存在がごく一般的になりました。
しかし、70年代に米国を中心に母乳育児復権運動が活発になると、科学的研究に基づくメリットがオープンに語られるようになり、米国小児科学会も母乳育児推奨の立場を表明しました。現在、フォーミュラの包装には母乳が最も優れた栄養源であることが明記されています。
母乳育児は、いつまで続けるべき?
世界保健機関(WHO)と米国小児科学会は、科学的根拠に基づき、生後6カ月間は母乳が最も適切な栄養であると判断し、完全母乳育児を勧めています。WHOは離乳食などと並行して、2歳までの母乳育児を推奨しており、それ以降も続けて問題はないとしています。つまり、母乳育児を続ける顕著なデメリットはないということです。
母乳育児の継続は子供の自立を遅らせるという意見もありますが、逆に子供のころの母子の肌の触れ合いは親子のきずなを深め、子供の自立を促すといわれています。
※次回は、米国の母乳育児の現状についてです。
Vital Choice Inc.
TEL: 718-224-0822
www.vitalchoice.weebly.com
母乳育児のメリットは何ですか?
母乳には、赤ちゃんに必要な栄養がすべて含まれていることです。ほかにも、赤ちゃんにとって次のような利点があることが、さまざまな研究によって分かっています。
▽母乳には母親が持つ抗体が豊富に含まれており、風邪や中耳炎などの感染症や、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の予防効果がある。
▽乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率が低下する。理由は未解明。
▽成人してからの肥満や生活習慣病を予防する。
▽母乳を飲むときに口を使うことで、あごと歯の適正な発達につながる。
一方、母親にも次のようなメリットがあります。
▽ホルモンの働きや、赤ちゃんと肌と肌で直接触れ合うことで、産後うつになりにくい。
▽子宮の収縮が促進され、産後の出血量が減って貧血になりにくい。
▽閉経前の乳がん、卵巣がんなどの予防効果がある。
▽血糖値が安定しやすく、妊娠糖尿病(妊娠中に血糖値が高くなる病気)の早期改善につながる。
▽出産後6カ月は妊娠の可能性が低くなる。
▽カロリーを消費するため、食事制限をしなくても体重を徐々に減らせる。
ほかにも母乳の場合、赤ちゃんが欲しがったときに、すぐに授乳できるという利便性があります。対照的に乳児用人工乳は、哺乳(ほにゅう)瓶を消毒し、調乳後も適温に冷まして飲ませるなど、手間がかかります。
母乳は費用面のメリットもあります。人工乳の購入費を省けますし、母乳に含まれる抗体で赤ちゃんが病気になりにくいので、医療費も節約できます。
母乳育児が推奨されるようになったのは、いつごろから?
母乳育児のメリットが見直されたのは1970年代で、それまでは人工乳が推奨される時代がありました。人工乳の歴史は古く、1883年には27種類の粉ミルクが販売されていたそうです。当時、粉ミルクは保存性の高さが人気を集めていましたが、その後、質の向上が進み、1929年には、米国医師会が粉ミルクの安全性と栄養価を認めるに至りました。
それ以降、医療機関と粉ミルク製造会社が粉ミルク普及で結束。大々的な宣伝活動の結果、米国を含む先進国で粉ミルク、つまりフォーミュラの存在がごく一般的になりました。
しかし、70年代に米国を中心に母乳育児復権運動が活発になると、科学的研究に基づくメリットがオープンに語られるようになり、米国小児科学会も母乳育児推奨の立場を表明しました。現在、フォーミュラの包装には母乳が最も優れた栄養源であることが明記されています。
母乳育児は、いつまで続けるべき?
世界保健機関(WHO)と米国小児科学会は、科学的根拠に基づき、生後6カ月間は母乳が最も適切な栄養であると判断し、完全母乳育児を勧めています。WHOは離乳食などと並行して、2歳までの母乳育児を推奨しており、それ以降も続けて問題はないとしています。つまり、母乳育児を続ける顕著なデメリットはないということです。
母乳育児の継続は子供の自立を遅らせるという意見もありますが、逆に子供のころの母子の肌の触れ合いは親子のきずなを深め、子供の自立を促すといわれています。
※次回は、米国の母乳育児の現状についてです。
Vital Choice Inc.
TEL: 718-224-0822
www.vitalchoice.weebly.com
心と体のメンテナンス-NYジャピオン
2014年3月14日発行号
3月のテーマ ◆ 母乳育児の基礎知識 第2回
政府が母乳育児を支援
専門家サービスも活用
ニッキー香月さん Nikki Katsuki, IBCLC, CLC国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)、米国認定ラクテーションカウンセラー (CLC)。日本の管理栄養士。ハンターカレッジ栄養学部卒。ニューヨーク市、ロングアイランド(ナッソー郡)で、母乳育児に関する産後訪問ケア(日本語・英語)を実施、母乳育児講座も定期開催。各種費用への医療保険適用申請をサポート。Vital Choice Inc.代表。
母乳育児を支援する国や自治体の取り組みは?
ニューヨーク州を含むほとんどの州は、公園や地下鉄など、公共の場所で母親が母乳を直接与えることを州法で保護しています。それ以前は、公共の場で胸をあらわにしたという理由で、授乳中の女性が逮捕されるケースもありましたが、この法律が成立してからは、授乳を妨害する行為が違法となりました。
母乳には、赤ちゃんが成人してからの肥満や、生活習慣病を予防する効果があります。ニューヨーク市では、喫煙や肥満対策など、市民の健康増進に力を入れたマイケル・ブルームバーグ前市長時代に、母乳育児推奨運動を実施しています。母乳育児の利点を説明するポスターを作成し、一般の人の目につきやすい商業施設などに張りました。母乳育児を推奨するポスターは、以前から医療機関にはありましたが、広く一般にも訴えることで、母乳育児を身近に感じてもらう効果があったようです。
連邦レベルでは、2010年に成立した包括的医療保険改革法「アフォーダブル・ケア・アクト(通称オバマケア)」によって、従業員50人以上の雇用主は、職場復帰した出産後の女性従業員に対し、子供が1歳になるまで、搾乳用休憩時間を提供することが義務化されました。また、女性が搾乳のために利用できる、他人の目に触れる心配のない場所をトイレ以外に設けることも、この法律で義務付けられました。
母乳育児に関するサービスは、医療保険でカバーされますか?
オバマケアによって、国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)が提供するサービスが、医療保険の償還対象になりました。IBCLCは、母乳育児の専門家に与えられる国際資格です。産科医師や小児科医師などと連携し、産前・産後の女性に母乳育児を指導し、「赤ちゃんがおっぱいを飲まない」「授乳時に乳首が痛い」など、母乳育児に関するさまざまな問題や悩みに対応します。
こうしたサービスや、IBCLCが開催する母乳育児講座の参加費が保険でカバーされます。IBCLCについては、第3回で詳しく説明します。
出産する病院で、母乳育児について教えてくれますか?
病院によります。IBCLCなどの専門家の指導を提供する病院もあれば、産婦から病院側に頼まない限り、何もしない病院もあります。そうしたサービスが有料、無料かも、病院によります。
母乳育児は、軌道に乗るまでが肝心です。分からないことや不安があれば、退院する前に、病院側に母乳育児専門家によるサービスを依頼することをお勧めします。
ちなみに、ユニセフと世界保健機関(WHO)は、母乳育児を中心とした適切な新生児ケアを推進するために、母乳育児に積極的に取り組む病院を「赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital)」に認定しています。
認定のための条件は、「妊婦に母乳育児の利点とその方法を知らせること」「母親が分娩後30分以内に母乳を飲ませられるように援助すること」「母子同室にすること」「母乳育児の支援グループを設け、退院する母親に紹介すること」などです。ニューヨーク市では、ニューヨーク大学病院とハーレム病院が認定を受けています。
※次回は、母乳育児に関する疑問についてです。
Vital Choice Inc.
TEL: 718-224-0822
www.vitalchoice.weebly.com
母乳育児を支援する国や自治体の取り組みは?
ニューヨーク州を含むほとんどの州は、公園や地下鉄など、公共の場所で母親が母乳を直接与えることを州法で保護しています。それ以前は、公共の場で胸をあらわにしたという理由で、授乳中の女性が逮捕されるケースもありましたが、この法律が成立してからは、授乳を妨害する行為が違法となりました。
母乳には、赤ちゃんが成人してからの肥満や、生活習慣病を予防する効果があります。ニューヨーク市では、喫煙や肥満対策など、市民の健康増進に力を入れたマイケル・ブルームバーグ前市長時代に、母乳育児推奨運動を実施しています。母乳育児の利点を説明するポスターを作成し、一般の人の目につきやすい商業施設などに張りました。母乳育児を推奨するポスターは、以前から医療機関にはありましたが、広く一般にも訴えることで、母乳育児を身近に感じてもらう効果があったようです。
連邦レベルでは、2010年に成立した包括的医療保険改革法「アフォーダブル・ケア・アクト(通称オバマケア)」によって、従業員50人以上の雇用主は、職場復帰した出産後の女性従業員に対し、子供が1歳になるまで、搾乳用休憩時間を提供することが義務化されました。また、女性が搾乳のために利用できる、他人の目に触れる心配のない場所をトイレ以外に設けることも、この法律で義務付けられました。
母乳育児に関するサービスは、医療保険でカバーされますか?
オバマケアによって、国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)が提供するサービスが、医療保険の償還対象になりました。IBCLCは、母乳育児の専門家に与えられる国際資格です。産科医師や小児科医師などと連携し、産前・産後の女性に母乳育児を指導し、「赤ちゃんがおっぱいを飲まない」「授乳時に乳首が痛い」など、母乳育児に関するさまざまな問題や悩みに対応します。
こうしたサービスや、IBCLCが開催する母乳育児講座の参加費が保険でカバーされます。IBCLCについては、第3回で詳しく説明します。
出産する病院で、母乳育児について教えてくれますか?
病院によります。IBCLCなどの専門家の指導を提供する病院もあれば、産婦から病院側に頼まない限り、何もしない病院もあります。そうしたサービスが有料、無料かも、病院によります。
母乳育児は、軌道に乗るまでが肝心です。分からないことや不安があれば、退院する前に、病院側に母乳育児専門家によるサービスを依頼することをお勧めします。
ちなみに、ユニセフと世界保健機関(WHO)は、母乳育児を中心とした適切な新生児ケアを推進するために、母乳育児に積極的に取り組む病院を「赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital)」に認定しています。
認定のための条件は、「妊婦に母乳育児の利点とその方法を知らせること」「母親が分娩後30分以内に母乳を飲ませられるように援助すること」「母子同室にすること」「母乳育児の支援グループを設け、退院する母親に紹介すること」などです。ニューヨーク市では、ニューヨーク大学病院とハーレム病院が認定を受けています。
※次回は、母乳育児に関する疑問についてです。
Vital Choice Inc.
TEL: 718-224-0822
www.vitalchoice.weebly.com
心と体のメンテナンス-NYジャピオン
2014年3月21日発行号
3月のテーマ ◆ 母乳育児の基礎知識 第3回
母乳育児に大切なホルモン
産後すぐの授乳で分泌促進
ニッキー香月さん Nikki Katsuki, IBCLC, CLC国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)、米国認定ラクテーションカウンセラー (CLC)。日本の管理栄養士。ハンターカレッジ栄養学部卒。ニューヨーク市、ロングアイランド(ナッソー郡)で、母乳育児に関する産後訪問ケア(日本語・英語)を実施、母乳育児講座も定期開催。各種費用への医療保険適用申請をサポート。Vital Choice Inc.代表。
国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)とは?
母乳育児の専門家に与えられる国際資格で、母乳育児講座、妊婦の産前・産後の入院中のケア、家庭訪問ケアなどを通じて、科学的知識に基づく母乳育児の実践的支援や、母親への精神的支援を提供します。現在は日本を含む世界94カ国で、2万6000人以上のIBCLCが活動しています。
母乳に関する問題や悩みは、「母乳の出が悪い」「授乳時に乳首が痛い」「赤ちゃんの体重が思うように増えない」「搾乳と授乳のパターンをつかめない」など、母親によってさまざまです。
それに対して、例えば家庭訪問ケアでは、赤ちゃんの体重と、舌の構造や長さ、母親の乳首の形や長さなどを調べた上で、赤ちゃんの抱き方、乳首の吸わせ方、1日の授乳回数、乳首の傷のケア、乳腺炎予防のためのケア、乳房マッサージ、搾乳方法などを個別に指導します。
母乳が出ない・出が悪いという場合の最も多い原因は、不適切な抱き方や乳首の吸わせ方です。赤ちゃんの口の開きの数ミリの差で、こうした問題が解決することもあります。
産後1、2カ月は、母乳育児を軌道に乗せる大事な時期です。そのため、できれば妊娠中から母乳育児について情報を集め、知識を蓄え、産後は入院しているうちに、IBCLCなど、母乳育児専門家の指導を受けることをお勧めします。問題や悩みがある場合は特に、母親が一人で頑張ろうとせず、早めに専門家に相談してください。
母乳ホルモンとは何ですか?
母乳育児のために必要なホルモンで、母乳生産を促すプロラクチンと、赤ちゃんのにおいや泣き声、乳首の刺激に反応して母乳を乳腺から出す、オキシトシンと呼ばれるホルモンの2種類があります。
母乳ホルモンは、産後に分泌が上昇します。ただし、赤ちゃんが乳首を吸わず、搾乳機も使わないなど、乳首への刺激が全くない状態が1週間も続けば、ホルモンの分泌、特にプロラクチンの分泌が急激に低下します。プロラクチンはいったん分泌が低下すると、なかなか回復しません。ホルモン分泌を安定させるためには、赤ちゃんに頻繁に乳首を吸わせることが非常に大切です。
赤ちゃんは、生まれた直後から乳首を含ませることがよいとされており、特に産後30~60分以内に授乳を開始すると、母乳育児が軌道に乗る速度も早いといわれます。「初乳が出るまで授乳を待つ」という意見もありますが、母乳は乳首を吸わせないと出ないことを覚えておきましょう。
授乳期に普段の生活で気を付けることは?
バランスの良い食事を心掛けましょう。母乳育児専門家が普段の食生活をお聞きして、足りない栄養素の摂取をアドバイスすることもあります。飲酒は、ビールやワインを小さ目のコップに一杯など、たしなむ程度は問題ありません。ただし、飲酒後2時間半は授乳してはいけません。
抗生物質や風邪薬、抗ヒスタミン剤、避妊薬などは、服用しても問題ないかどうか、事前に医師に必ず相談してください。
過剰なストレスが母乳の出に影響することもあります。授乳中は専門家や周囲の支援をうまく利用して、できるだけリラックスすることが大事です。
※最終回の次回は、母乳育児に関する悩みと対策についてです。
Vital Choice Inc.
TEL: 718-224-0822
www.vitalchoice.weebly.com
国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)とは?
母乳育児の専門家に与えられる国際資格で、母乳育児講座、妊婦の産前・産後の入院中のケア、家庭訪問ケアなどを通じて、科学的知識に基づく母乳育児の実践的支援や、母親への精神的支援を提供します。現在は日本を含む世界94カ国で、2万6000人以上のIBCLCが活動しています。
母乳に関する問題や悩みは、「母乳の出が悪い」「授乳時に乳首が痛い」「赤ちゃんの体重が思うように増えない」「搾乳と授乳のパターンをつかめない」など、母親によってさまざまです。
それに対して、例えば家庭訪問ケアでは、赤ちゃんの体重と、舌の構造や長さ、母親の乳首の形や長さなどを調べた上で、赤ちゃんの抱き方、乳首の吸わせ方、1日の授乳回数、乳首の傷のケア、乳腺炎予防のためのケア、乳房マッサージ、搾乳方法などを個別に指導します。
母乳が出ない・出が悪いという場合の最も多い原因は、不適切な抱き方や乳首の吸わせ方です。赤ちゃんの口の開きの数ミリの差で、こうした問題が解決することもあります。
産後1、2カ月は、母乳育児を軌道に乗せる大事な時期です。そのため、できれば妊娠中から母乳育児について情報を集め、知識を蓄え、産後は入院しているうちに、IBCLCなど、母乳育児専門家の指導を受けることをお勧めします。問題や悩みがある場合は特に、母親が一人で頑張ろうとせず、早めに専門家に相談してください。
母乳ホルモンとは何ですか?
母乳育児のために必要なホルモンで、母乳生産を促すプロラクチンと、赤ちゃんのにおいや泣き声、乳首の刺激に反応して母乳を乳腺から出す、オキシトシンと呼ばれるホルモンの2種類があります。
母乳ホルモンは、産後に分泌が上昇します。ただし、赤ちゃんが乳首を吸わず、搾乳機も使わないなど、乳首への刺激が全くない状態が1週間も続けば、ホルモンの分泌、特にプロラクチンの分泌が急激に低下します。プロラクチンはいったん分泌が低下すると、なかなか回復しません。ホルモン分泌を安定させるためには、赤ちゃんに頻繁に乳首を吸わせることが非常に大切です。
赤ちゃんは、生まれた直後から乳首を含ませることがよいとされており、特に産後30~60分以内に授乳を開始すると、母乳育児が軌道に乗る速度も早いといわれます。「初乳が出るまで授乳を待つ」という意見もありますが、母乳は乳首を吸わせないと出ないことを覚えておきましょう。
授乳期に普段の生活で気を付けることは?
バランスの良い食事を心掛けましょう。母乳育児専門家が普段の食生活をお聞きして、足りない栄養素の摂取をアドバイスすることもあります。飲酒は、ビールやワインを小さ目のコップに一杯など、たしなむ程度は問題ありません。ただし、飲酒後2時間半は授乳してはいけません。
抗生物質や風邪薬、抗ヒスタミン剤、避妊薬などは、服用しても問題ないかどうか、事前に医師に必ず相談してください。
過剰なストレスが母乳の出に影響することもあります。授乳中は専門家や周囲の支援をうまく利用して、できるだけリラックスすることが大事です。
※最終回の次回は、母乳育児に関する悩みと対策についてです。
Vital Choice Inc.
TEL: 718-224-0822
www.vitalchoice.weebly.com
心と体のメンテナンス-NYジャピオン
2014年3月28日発行号
3月のテーマ ◆ 母乳育児の基礎知識 最終回
抱き方と吸わせ方が鍵
迅速に専門家に相談を
ニッキー香月さん Nikki Katsuki, IBCLC, CLC国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)、米国認定ラクテーションカウンセラー (CLC)。日本の管理栄養士。ハンターカレッジ栄養学部卒。ニューヨーク市、ロングアイランド(ナッソー郡)で、母乳育児に関する産後訪問ケア(日本語・英語)を実施、母乳育児講座も定期開催。各種費用への医療保険適用申請をサポート。Vital Choice Inc.代表。
母乳の出が悪い場合の原因と対策は?
原因はいろいろありますが、最も多いのは、母乳はちゃんと作られているのに、赤ちゃんの抱き方が不適切で、赤ちゃんが乳首をうまく吸えていないというケースです。抱き方と乳首の含ませ方の基本は、赤ちゃんが口を大きく開けたときに、そのまま乳房の方にすっと引き寄せることです。そうすれば、乳首を乳輪部まで深く含ませることができます。
赤ちゃんの口が半開きだと、乳首を浅くしか含めないので、いくら吸っても、母乳が十分に出ないことがあります。赤ちゃんは、吸っても出ないと思い込み、吸うことをやめてしまうかもしれません。含ませ方が浅いと乳首も傷つきやすく、母親が授乳のたびに痛い思いをすることになります。
ただし、これはあくまで一般論です。母親の乳首の形や大きさ、赤ちゃんの好みなども考えて、抱き方や乳首の含ませ方を微調整することも、場合によっては必要です。
授乳回数が少ないために、母乳生産に必要な乳首の刺激が不足し、母乳生産自体が減るケースも多々あります。その場合は、授乳回数を増やして赤ちゃんにできるだけ頻繁に乳首を含ませ、搾乳機も併用して、生産量の回復に努めます。
赤ちゃんによっては、舌の下のヒダが短いために、舌の上下運動が上手にできず、乳首をうまく吸えないこともあります。その場合も、専門医師による簡単な処置で解決できます。
母乳が出ない、出が悪いという悩みは母親にとって深刻ですが、ほとんどのケースは解決策があります。「母乳が出ないのは遺伝」とあきらめる方もいますが、遺伝は関係ありません。自己流の解決策やインターネットの情報に惑わされず、問題や悩みがあってもなくても、国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)、または米国の資格を持つ母乳育児専門家に、早めに相談されることをお勧めします。
乳腺炎とはなんですか? 症状は?
乳房が腫れて硬くなり、触れると激しく痛み、発熱を伴うこともあります。乳腺内に母乳がたまるうっ帯性と、乳首の傷から細菌が侵入して起こる細菌性の2種類があります。
発症率はそれほど高くありませんが、ほとんどのケースは、授乳頻度が足りないことが原因のうっ帯性乳腺炎です。急性の場合が多く、慌てがちですが、落ち着いて産婦人科を受診してください。抗生物質が必要な場合もありますが、授乳回数を増やすことで治ることもあります。
母乳育児専門家の探し方は?
出産する病院から紹介してもらってもいいし、母乳育児推進団体のウェブサイトに掲載された専門家一覧の中から探すこともできます。例えばニューヨーク州は、ニューヨーク・ラクテーション・コンサルタント協会のウェブサイト(www.nylca.org/parents/services/)で、希望するサービスや地域ごとに有資格の母乳育児専門家を検索できます。
ラ・レーチェ・リーグ(www.lllusa.org)は、母乳育児を支援する母親による国際的ボランティア団体です。特別訓練を受けて同団体から認定を受けた母乳育児経験者が、母乳育児に関する電話相談を受け付けています。困ったときの情報源の一つとして、参考にしてください。
※来月は泌尿器科医師のマイケル・ロットマン先生に、男性の更年期障害について伺います。
Vital Choice Inc.
TEL: 718-224-0822
www.vitalchoice.weebly.com
母乳の出が悪い場合の原因と対策は?
原因はいろいろありますが、最も多いのは、母乳はちゃんと作られているのに、赤ちゃんの抱き方が不適切で、赤ちゃんが乳首をうまく吸えていないというケースです。抱き方と乳首の含ませ方の基本は、赤ちゃんが口を大きく開けたときに、そのまま乳房の方にすっと引き寄せることです。そうすれば、乳首を乳輪部まで深く含ませることができます。
赤ちゃんの口が半開きだと、乳首を浅くしか含めないので、いくら吸っても、母乳が十分に出ないことがあります。赤ちゃんは、吸っても出ないと思い込み、吸うことをやめてしまうかもしれません。含ませ方が浅いと乳首も傷つきやすく、母親が授乳のたびに痛い思いをすることになります。
ただし、これはあくまで一般論です。母親の乳首の形や大きさ、赤ちゃんの好みなども考えて、抱き方や乳首の含ませ方を微調整することも、場合によっては必要です。
授乳回数が少ないために、母乳生産に必要な乳首の刺激が不足し、母乳生産自体が減るケースも多々あります。その場合は、授乳回数を増やして赤ちゃんにできるだけ頻繁に乳首を含ませ、搾乳機も併用して、生産量の回復に努めます。
赤ちゃんによっては、舌の下のヒダが短いために、舌の上下運動が上手にできず、乳首をうまく吸えないこともあります。その場合も、専門医師による簡単な処置で解決できます。
母乳が出ない、出が悪いという悩みは母親にとって深刻ですが、ほとんどのケースは解決策があります。「母乳が出ないのは遺伝」とあきらめる方もいますが、遺伝は関係ありません。自己流の解決策やインターネットの情報に惑わされず、問題や悩みがあってもなくても、国際認定ラクテーションコンサルタント(IBCLC)、または米国の資格を持つ母乳育児専門家に、早めに相談されることをお勧めします。
乳腺炎とはなんですか? 症状は?
乳房が腫れて硬くなり、触れると激しく痛み、発熱を伴うこともあります。乳腺内に母乳がたまるうっ帯性と、乳首の傷から細菌が侵入して起こる細菌性の2種類があります。
発症率はそれほど高くありませんが、ほとんどのケースは、授乳頻度が足りないことが原因のうっ帯性乳腺炎です。急性の場合が多く、慌てがちですが、落ち着いて産婦人科を受診してください。抗生物質が必要な場合もありますが、授乳回数を増やすことで治ることもあります。
母乳育児専門家の探し方は?
出産する病院から紹介してもらってもいいし、母乳育児推進団体のウェブサイトに掲載された専門家一覧の中から探すこともできます。例えばニューヨーク州は、ニューヨーク・ラクテーション・コンサルタント協会のウェブサイト(www.nylca.org/parents/services/)で、希望するサービスや地域ごとに有資格の母乳育児専門家を検索できます。
ラ・レーチェ・リーグ(www.lllusa.org)は、母乳育児を支援する母親による国際的ボランティア団体です。特別訓練を受けて同団体から認定を受けた母乳育児経験者が、母乳育児に関する電話相談を受け付けています。困ったときの情報源の一つとして、参考にしてください。
※来月は泌尿器科医師のマイケル・ロットマン先生に、男性の更年期障害について伺います。
Vital Choice Inc.
TEL: 718-224-0822
www.vitalchoice.weebly.com